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ヒューリスティック(heuristics) / 合意性バイアス(consensus bias)

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ポイント 

 

ヒューリスティック(heuristics)

 

何かのルールに基づき、「複雑な問題」を「簡単な問題」に置き換え、結論に至る道のりをショートカットする判断方略。つまり、重要でない対象には、単純な手がかりにより簡便に判断する。

 認知容量や時間が限られた状況で「それなりに正しい」回答に至ることが多いという点で役にたつ。

ダニエル・カーネマン(Kahneman,D.)の業績の一つである。

 

代表性ヒューリスティック

 自分の知識と一致した典型的な事例に引っ張られるヒューリスティック

ex.

「万引きをしたのは「高校生」と「不良高校生」ではどちらの犯人の確率が高いか」と質問すると、本来は母集団である「高校生」の方が確率は高いにもかかわらず、万引きと関連が深そうな「不良高校生」と回答しやすい。

 

利用可能性ヒューリスティック

思い出しやすい情報に引っ張られるヒューリスティック

ex.

自動車事故放を目撃した直後は、事故の記憶を思い出しやすいので、自動車事故の発生確率を過大評価してしまう。

 

保留と調整

保留ーよく知らないことについて推測する場合、手がかりとなる情報を出発点とする。

調整ー保留で手がかりとした情報より多いか少ないかを考える。ここでの調整で合意性バイアスが生じる。

ex.

同じ能力の社員でも、給料交渉で「20%上げてほしい」と言った社員と希望を言わなかった社員では、前者の方がより高い給与を得やすい。

 

合意性バイアス

 

人が自分の態度や行動が一般的なもので、他人もみな自分と同じようにしていると信じてしまう傾向。

 

 

 

 

cf.

 

創造的過程の理論

ワラス(Wallas,G)は創造的過程の4段階を示した。それは、準備の段階、温めの段階、開明(ひらめき)の段階、検証の段階の四つである。

 

 

機能的固着

問題解決場面において、対象を先行経験から固定した見方で捉えること。つまり、発想がものの通常の昨日に固着してしまい、別の発想が浮かばなくなること。

ドゥンカー(Duncker,K)によるマッチを用いた実験が有名。

 

 

アルゴリズム

手間や時間がかかる可能性はあるが、確実に問題の解決につながる解決法。

 

 

サピア・ウォーフ仮説

言語は話す者の世界観や認識、思考パターンの形式に影響するという説。

 

主題内容効果

文脈によって、問題の正答率が変化する減少。

例は、ウェイソンの4枚のカード問題。

 

確認問題

[1]

「社会的影響の2過程説」について簡潔に説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[2]

代表性のヒューリスティックスについて例をあげて説明しなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[3]

四枚カード問題について説明し、その解答に現れる傾向に関するおもな理論を述べなさい。

名古屋市立大学大学院 人間文化研究科 人間文化専攻)

 

[4]

下記の用語を簡潔に説明しなさい。

・heuristics

静岡大学大学院 人文社会科学研究科 臨床人間科学専攻)

 

解答

[1]

社会的影響の2過程は、直観的過程と分析的過程に分けられる。直観的過程は自動的、反射的、ヒューリスティク、潜在的過程などと呼ばれ、無意識的で素早く、自動的でトップダウン的な情報処理が行われるとされる。それに対して、分析的過程は統制的、反省的、合理的、アルゴリズム、顕在的過程などと呼ばれ、情報に基づいて意識的で時間をかけた慎重な処理が行われるとされる。

 

[2]

代表性のヒューリスティックスは、自分の知識と一致した典型的な事例に引っ張られるヒューリスティックである。「万引きをしたのは「高校生」と「不良高校生」ではどちらの犯人の確率が高いか」と質問すると、本来は母集団である「高校生」の方が確率は高いにもかかわらず、万引きと関連が深そうな「不良高校生」と回答しやすい。

 

[3]

問題が2つある。問題1は「一方がRならもう一方は2である」というルールが正しいことを確かめるためにめくる必要があるカードはどれか?問題2は、「20歳以上ならお酒が飲める」というルールが正しいことを確かめるのにめくる必要があるのはどれか?2つの問題は論理学的には全く同じ問題であるが、正答率問題1は大学生でも1割以下と低く、その一方で問題2では正答率ははるかに高くなる。このように論理形式は同じであるのに、文脈によって問題の正答率が変化する現象を主題内容効果という。「偶数」「アルファベット」のような抽象的な問題は日常的になじみがないため理解しづらいが、「なぜ20歳以上はお酒を飲んではいけないのか」といった疑問に対して暗黙のヒントが得られる文脈があると自然に理解がしやすくなる。文脈によって、問題の正答率が変化する減少。

 

[4]

何かのルールに基づき、「複雑な問題」を「簡単な問題」に置き換え、結論に至る道のりをショートカットする判断方略。つまり、重要でない対象には、単純な手がかりにより簡便に判断する。